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カテゴリ:Hedge Fund( 26 )


2005年 12月 02日

最近のディスカッションから

最近、日本の証券会社の方々のご訪問を頂いて、ヘッジファンドやその周辺産業の動向について個人的な意見交換をする機会がありました。先方はこれからファンド・オブ・ファンズの新商品を投下するとのことで(残念ながら今回は弊社の商品ではないのですが・・・)、いろいろとその準備に奔走していて、大変充実しているようでした。席上たくさん質問を頂いたので、私見と断った上でいろいろとお話をさせてもらったのですが、ひとつ気になったのが、先方が発した『今年は軒並みパフォーマンスが厳しいですよね。特にロング・ショートとイベント・ドリブンが結構やられてしまって・・・』という一言でした。

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by th4844 | 2005-12-02 07:21 | Hedge Fund
2005年 11月 06日

Hermes

Hermes(フランス語ではエルメス、英語ではハーミーズ)とは、ギリシャ神話における神々の使者で、転じて伝令・雄弁・旅・商業の神を指すそうだ。今日はあのフランスのエルメスではなく、英国のハーミーズのお話。

ハーミーズは運用資産600億ポンド(約12兆円)を誇る英国最大規模の年金運用機関である。その生い立ちも含めてちょっと複雑な存在なのだが、誤解を恐れずに大胆に説明を省かせて頂くとすれば、BT(British Telecom=分離分割前のNTTのような存在)が自らの年金資産運用のために抱えている子会社であるといえよう。ただし、最近は他の年金や生損保、政府機関、慈善信託等の資産の受託にも積極的で、現在は大小あわせて200件以上の外部顧客を有しており、BTPS(BT Pension Scheme)からの受託は運用資産のうち60%程度まで低下している。

さて、サイズや外部資産取り込みの積極性もさることながら、ハーミーズをもっとも有名にさせているのが、そのアグレッシブな投資方針であろう。ALMなどまるでおかまいなしの株式主体のアセットアロケーション(BTPSの2004年の年次報告によれば、英国株と外国株の合計の組み入れ比率はなんと7割近い!)と、その結果としての株式市場への強大な影響力を活かした“モノを言う株主”としての積極的な議決権行使、そして最近は欧州の年金基金としては極めて珍しい、ヘッジファンドへの直接投資(一般的には、私の勤務先のようなファンド・オブ・ファンズを通した間接投資が主流だが、ハーミーズは自社でFoFsを組成して外部の投資家の資金も積極的に受け入れている)。

とりわけ議決権行使については、気に入らない議案にNoを突きつけるのは勿論のこと、最近はより積極的にアクティビストとしての投資機会の発掘に貪欲だ。コーポレートガヴァナンスやバランスシートの改善によって企業価値の向上が期待でき、かつそれが(大)株主としての積極介入によって実現出来そうな企業をターゲットとして、内外の資金をどんどん投下している。ハーミーズのメインスポンサーであるBTPSも、こうしたハーミーズの“アクティビストぶり”を全面的に支持している。日本に例えるならば、NTT共済が他の年金や大手生保に声をかけて一緒に村上ファンドを立ち上げたようなイメージであろうか。

こうしたモノを言う年金としては、米国のCalPERS(カリフォルニア州の教員組合の年金基金、世界最大規模の機関投資家と言われる)が有名だが、まさに西の横綱がCalPERSなら
大西洋の東の横綱がハーミーズといった貫禄である。実際、ハーミーズとCalPERSの間では、以前からこうしたshareholder activismの分野で協力・共同研究をしていくという協定も締結されている。

と、ここまでなら、『英国にも米国に負けじとそれなりに急進的な機関投資家がいるんだなあ』といった程度の話で済むだろう。ところが最近、ハーミーズが英国市場を大きく賑わせる“事件”があった。なんと、ハーミーズは次期のCEOに、今のCalPERSのCIO(最高投資責任者)であるMark Anson氏を招聘することを発表したのだ。CalPERSがその資産規模だけでなくアグレッシブな議決権行使の姿勢で全米から恐れられる存在になったのも、このMark Anson氏がこうしたアプローチを確立したからこそである。更に言うなれば、米国市場において『機関投資家が株主として経営に口を挟む』というスタイルを普及させたのもAnson氏の“功績”であろう。英国でもっとも力のある年金運用機関が、そうした米国の急進派年金と共闘するのみならず、その運用責任者その人をヘッドハントするとあっては、さすがに業界内でも大きな波紋を呼んだ。ハーミーズの最近の傾向から、『10年後には同社が世界最大のヘッジファンドになっているかもしれない』などといったことを言う人も少なくないのだが、さてこのAnson氏を迎えたことで、今後の“伝令・雄弁の神”ハーミーズの動向からはますます目が離せなくなった。ちなみに、ギリシャ神話のHermesには、英雄の魂を冥土へと連れて行く死神という側面もあるとか・・・

日本においても、機関投資家が議決権行使をしたり損害賠償訴訟を起こしたりするような動きも少しずつ出てきているとはいえ、基本的には、依然として彼らの言動は“多少の”経済的利益を犠牲にしてでも、政治的な要因を含めた総合的な判断、要するに波風を立てない方向を向いていることが多いように見受けられる。このような英米と日本の機関投資家の行動様式の違いは、やはり運用担当者の雇用形態の違いに起因しているといえよう。日本の年金基金では最終的な意思決定の場が本社の財務部にあったり、また運用担当者も工場勤務から配置転換されてきたようないわゆるサラリーマン・マネージャーであることが多いため、必然的にリスク選好度は低くなるし、投資先とはいえ他社にケンカを売れるほどの高度なスキル(?)も蓄積されにくい。他方で、英米の場合は運用に当たる人はプロのポートフォリオ・マネージャーであるし、彼らの報酬や地位・名声も、すべて運用成績によってのみ左右される。ハーミーズにしても、スタッフは皆運用の世界のプロ達であるし、その資本を持っているBTPSの運用方針を決めているTrustees達もまた、運用成績の向上のみを使命として指名されたプロ達である。ヘッジファンドだろうがアクティビストだろうが、何でもいいからとにかく運用成績を上げるんだ!という切実なモチベーションがそこここに働いている訳で、ベンチマーク近辺の運用を堅持した結果、本体からの拠出金の積み増しを求めるに至ったなどという事態に陥ってしまっては運用担当者として失格である。以前からウォールストリート日記のharryさんが『市場の深み』という言葉を使っていらっしゃるが、東京市場においても、物言わぬ羊たちがもう少し追い込まれて必死の形相になってくれば、必然的に市場における合理性・透明性・効率といったものが改善し、より万人にとって(発行体にとっても内外のいかなる属性の投資家にとっても)使い勝手の良いマーケットへのドライブが効いてくるのだと思う。少なくとも、ニューヨークやロンドンのマーケットはそうやって発展を続けている。

ちなみに、フランス語読みの方のHermesには・・・
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by th4844 | 2005-11-06 08:13 | Hedge Fund
2005年 09月 20日

アブソリュートリターン投資全盛時代の到来?

日本からかなりシニアなレベルの来客があった。『細かい話はさておき、ぶっちゃけヘッジファンドってどうなるの?』というお題について専門家の話が聞きたいとのことだったので、今回は弊社のChief Executiveにご登場願った。

彼のスピーチは、私自身はもう何十回も聞いているお決まりの内容だったが、個人的には概ねこの見方に賛同しているので、この場を借りて、ひとつ素直にメモを残しておくこととした。

なお、ヘッジファンドとPEのクロスオーバーが言われて久しいが、その反対側の境界では、ヘッジファンドとアクティブ型のミューチュアルファンド(日本なら投資信託)の相互乗り入れのような状況もかなり進行している。これは、そういったコンテクストも踏まえた上で語られたオハナシである。

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by th4844 | 2005-09-20 09:19 | Hedge Fund
2005年 09月 15日

touch wood

イギリス英語独特の表現(おまじない?)だと思うのだが、こちらの人は幸運が続くことを願う時に、『touch wood』 と口にしながら木製のテーブルやイス、はたまた壁などをトントンと手の平で軽く叩いてみせる。『危ない危ない。調子に乗りすぎてバチが当たったら大変だ』といったニュアンスなのだが、とにかく木に触るのが大事らしい(木が見当たらない時は触る仕草だけの時もあるが、必ず動作を伴うのがポイント?)。『今シーズンもチェルシーは開幕から無傷の3連勝だぜ、おっと、touch woodしとこう』とか、『いやー、そう言えばうちの子は今まであまり大きな病気をしたことが無いなぁ。おっと、touch wood!』といったケースが典型的な使用例だ。かなり頻繁に耳にするのだが、これに遭遇する度にイギリス人の意外に謙虚な一面を垣間見た気になる。

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by th4844 | 2005-09-15 06:25 | Hedge Fund
2005年 09月 10日

Hurricane Katrina と 運用者としてのアカウンタビリティ

メキシコ湾岸地域での惨状は当地でも連日大きく報じられている。先進国とは思えないショッキングな映像を見るにつけ、この空前の規模のハリケーンの猛威に驚くとともに、次第に明るみになる人災的な側面にもいろいろと考えさせられる。犠牲になられた方の冥福をお祈りするとともに、被災された方が近い将来何らかの形で生活を再建できるよう願うばかりである。

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by th4844 | 2005-09-10 19:00 | Hedge Fund
2005年 09月 03日

欧州系ヘッジファンドにもっと投資すべき理由

現在、全世界のヘッジファンドの運用総額は1兆㌦以上と言われており、それもここ3-5年くらいの間に倍増したというのが定説である。依然としてその大半が米国市場を投資対象としているものの、一方で、欧州やアジアを投資対象とするヘッジファンドも急増している。欧州を投資対象とするヘッジファンドについて言えば、運用総額は2003年に1000億㌦を超え、2004年には倍増して2000億㌦を超え、今年中には3000億㌦を超えると見られている。3年で3倍というユニバースの急成長に対して、大手のファンド・オブ・ファンズや機関投資家のヘッジファンド・ポートフォリオにおける欧州系ヘッジファンドの組み入れはまだまだ少ないようであるが、欧州のヘッジファンドへの投資にもう少し前向きになってもいいのではないだろうか。今後の欧州向け投資の増額を正当化できそうな理由をいくつか挙げてみたい。

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by th4844 | 2005-09-03 09:14 | Hedge Fund
2005年 08月 02日

日本に学ぶ

先週の金融庁の発表によれば、全国の銀行が平成17年3月期までに計上した不良債権処理損の累計額は、平成4年度(1992年度)以降の貸倒引当金繰入及び直接償却の合計で96兆円に達したらしい。ここ5~6年というもの、大手銀行はその莫大な償却原資を賄うために再編、公的資金投入、持合解消を伴う政策保有株の益出し、空前の規模の増資、そして(ある程度の)リストラを必死になって実施してきたが、今回公表された数字を眺めてみると、長い長い不良債権処理もとうとう一服したと言えそうである。

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by th4844 | 2005-08-02 04:34 | Hedge Fund
2005年 07月 30日

ヘッジファンドは世界を豊かにしているのか?

ヘッジファンドは世界を豊かにしているのか ― これは、いつも拝見させて頂いているdiwaseさんのハーバード留学記でkenさんが投げかけていらっしゃったアジェンダである。diwaseさんがおっしゃっている通り、世間でのヘッジファンドに対するイメージが、あまりにも実態から懸け離れたところで一人歩きしている気がするので、僭越ながら私もトラックバックさせて頂いた。kenさんを始め、中にはお気を悪くされる方もいらっしゃるかもしれないが、私はしばらくヘッジファンド関連の仕事をしているので、ややヘッジファンド擁護的な発言となることをお許し頂きたい。ヘッジファンドの良いところも悪いところもそれなりに見てきたつもりだし、いいヘッジファンドも悪いヘッジファンドも見てきたので、自分が“ヘッジファンド万能!万歳!最高!”というヘッジファンド狂ではないとは信じているが、彼らに対する誤解については、少しでも解いておきたいと思う。

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by th4844 | 2005-07-30 06:41 | Hedge Fund
2005年 06月 18日

恵まれない子供たちのためのヘッジファンド・・・

先日のエントリー証券取引所を巡る攻防でも触れたヘッジファンドThe Children's Investment Fundについて、忘れないうちに書いておく。

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by th4844 | 2005-06-18 04:05 | Hedge Fund
2005年 06月 15日

証券取引所を巡る攻防

村上世彰氏の今度の標的は大証だとか。『現経営陣は、「清算機関でもある証券取引所は、参加者の破綻に耐えうるような十分な財務資源を維持すべきである。」と主張して、多額の剰余金を有しながら株主に対する適正な還元を行おうとしない。しかし、そもそも、有事における取引の安全は、一民間企業である当社の株主のみの負担によって確保されるべき性質のものではない。』という彼の主張は、確かにその通りであろう。明確な使途のない現金を大量にべったり寝かせておくといったバランスシートの使い方は前近代的であると言われても仕方が無い。この手のケースではいつもそうだが、不要不急のキャッシュは直ちに株主に還元しろ、という主張が他のステークホルダーの共感を得られるかどうかは疑問であるとはいえ、標的にされる企業の財務戦略に問題があったことは事実だ。ここで村上氏のようなアクティビストの善悪を論じるつもりは無いが、こういった一つ一つの“事件”が、日本の資本市場を徐々に成熟させていく触媒として機能していると理解している。

さて、ここ欧州でも証券取引所を舞台とした攻防が注目を集めている。

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by th4844 | 2005-06-15 04:53 | Hedge Fund