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2005年 06月 09日

CBアービトラージは死んだか(1)

90年代にはヘッジファンドといえばCBアービトラージという時期もあった。その後、グローバルマクロ、債券アービトラージ、リスクアービトラージ、株式ロングショートなどの戦略が次第にポピュラーになって来るのだが、それでもCBアービトラージは、99年から03年までの間、年率10%中盤程度のリターンを誇っており、この時期は株、債券ともにリターンが冴えなかったこともあって、世界中の投資家からかなりの規模の資金流入があった。

転換点は昨年で、株式投資が二桁のリターンを回復(S&P500は+11%)し、社債投資も5%弱まできた(LehmanAggregate.4%)のに対し、CBアービトラージのリターンは1.5%に終わった。ここ数年のようにボラティリティの低い環境では、分散投資はリターンのアップサイドの追求の阻害要因となるので、CB裁定のようなボラティリティ・ロング、かつ分散投資型の投資戦略は当然ながら優位性を失う。このため、一部のマネージャーには、ボラの他にクレジットリスクをとりに行く動きも見られたが、投資家(とりわけファンド・オブ・ファンズ)は2004年後半からCBアービトラージに見切りをつけて他の投資戦略へ資金をシフトさせている。多くのヘッジファンドが解約に際しては30日から90日前までの事前通知を条件としているため、2004年の終盤に解約通知を受け取ったマネージャーのポジションの手仕舞いによるCB市場の需給悪化が、2005年に入ってからいよいよ本格化した。加えて、欧州では大手CBアービトラージファンドが数年前の新発債の引き受けについてインサイダー取引の疑義をかけられて当局の取調べをうけているとか、別のファンドが破綻の危機に瀕しているといった噂も広まったことから、
CBファンドへの解約は一段と増え、需給関係の悪化からCBアービトラージのパフォーマンスが悪化するというスパイラルが加速していった。これにとどめを刺したのがGMショックである。

2005年3月にGMが業績見通しの大幅下方修正を発表したのを受けて、投資不適格への格下げ懸念から、同社のクレジットスプレッドが急拡大した。翌4月に実際に格下げが発表され、格付け会社からはGMのみならずFordに対しても厳しい評価が下された。今回のGM・Fordの格下げで投資家が被った評価損の総額は300億㌦(=3兆円)に達しており、これはワールドコム(=2兆円)とエンロン(=1兆円)のデフォルト総額の合計とほぼ同じ水準のマグニチュードであると言われている。こうした社債市場におけるGMのプレゼンスの大きさも手伝って、ハイイールド債市場全般に売り圧力が強まった。このクレジットスプレッドの拡大はCB市場にも波及して、CBの市況悪化に拍車がかかった。これが“GMショック”がもたらした直接的要因であるが、実はGMショックはもう一つ、より深刻かつ広範な影響を及ぼしている。
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by th4844 | 2005-06-09 19:44 | Hedge Fund


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