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2005年 03月 25日

ファンド・オブ・ファンズの raison d'etre

私の勤務先は、ロンドンにあるファンド・オブ・ファンズ運用会社である。世界各地の金融機関や年金基金、あるいは個人富裕層やファミリーオフィスから資金を預かってきて、これをファンド・オブ・ファンズという箱を通じて、多数のヘッジファンドに分散投資している。私どもにお任せ頂ければ、選りすぐりのヘッジファンドへの分散投資が可能ですよ、と社外に宣伝したり(マーケティング)、宣伝の仕方を確立させて社内の他のスタッフに伝授する(マーケティングサポート)のがここでの私の仕事で、日本向けの仕事が6-7割、残りは欧州向けが多い。



ヘッジファンド投資を行う際には多数のマネージャーへの分散投資が有効であるというのは最早常識であろうが、その際に投資家が我々のようなファンド・オブ・ファンズの介在を必要とするのはなぜか。

・スキルの問題 (ユニークな戦略や戦術を用いるマネージャーの選別作業には、高度なリサーチ及びモニタリング能力が求められる)

・キャパシティの問題 (ニッチな分野に特化したマネージャーの場合には運用可能資産額に上限があるため、マネージャー側が投資家の選別をしたり、運用開始後比較的早い段階で投資資金の受け入れを停止するなど、所謂『一見さんお断り』のヘッジファンドが多い)

といったところが教科書的な回答だろうか。しかし、個人投資家や小規模な金融機関は別として、大手の機関投資家であれば、上記のようなボトルネックをクリアするのは時間の問題とも考えられよう。それにもかかわらず、ファンド・オブ・ファンズ不要論というのがそれほど聞こえて来ないのはどういうことなのか。リアリティのある台所事情として、日系大手機関投資家の運用担当者からは以下のような声も聞こえてくる。

・言葉の問題 (スキルが高くてしかもヘッジファンドマネージャーと高度な議論が出来るだけの英語力があるという人材は社内でも希少であり、自前のリサーチデスクを組織するのは困難である。さらにいえば、せっかく時間をかけてそういったスター集団を社内で育て上げたところで、外資系金融機関に引き抜かれてしまうのが関の山である)

・定量的な意味ではない、サラリーマンとしてのリスクヘッジの問題 (毎年大手ヘッジファンドが数社破綻している中、自社の名前が『xxファンドの破綻により多額の損失を被った主な投資家』として新聞紙上を賑わせるような事態はあってはならないので、ファンド・オブ・ファンズを通じた間接投資をすることによって責任を他社に転嫁出来る形を作る方が安心である)

結局、昨今のヘッジファンドブームの過熱振りとは裏腹に、まだまだ心理的な参入障壁の極めて高い分野であることが窺い知れる。ファンド・オブ・ファンズが年率1%前後の手数料を課しても尚、ヘッジファンドのインデックスを上回るリターンを上げることが出来る限り、投資家にとってファンド・オブ・ファンズとはなかなか使い勝手の良いシステムのようである。
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by th4844 | 2005-03-25 04:53 | Hedge Fund


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