2006年 08月 15日

Distressed投資:早くも老舗が動く


90年代から日本でも活躍していた米国の某社が、今般60億㌦規模のディストレスト投資のファンドを新たに立ち上げるようです。昨今のLBOブームのお陰で、この60億㌦という金額もIRR25%程度というターゲットリターンも、もはや特筆に価するものではありませんが、注目すべきはこのタイミングですね。






ディストレスト投資のオポチュニティというのは、ある程度景気サイクルにも連動した周期性があるため(ディストレスト・サイクルなどと呼んだりします)、短期から中期の運用成績の見通しについては、ファンドマネージャーの間で比較的コンセンサスが生まれやすい分野であると言えます。米国及び欧州に関して言えば、最近では2000年前後のハイテクバブル機にめちゃくちゃな資金調達をしていた企業のバランスシートの劣化が目立ち始めた2002年くらいからディストレスト系ファンドによる“仕込み”が活発になり、金融緩和の効果が浸透した2003年~2004年あたりにそうしたポジションの多くが成功裡にエグジットを遂げていました。

現在はというと、この2002年に始まった長いサイクルの最終局面と、次のサイクルの中間点にあると見られています。ここ数年、ハイイールド市場が記録的な活況を見せていますが、信用力の劣る企業群が容易に資金調達出来ているということは、裏を返すと、これらのデットの一部は将来の不良債権予備軍となっている訳です。やや話を単純にしてしまうと、最近まで記録的な資金調達が続いていた以上、ひとたび景気が後退するか投資家のリスク選好度や銀行の与信態度が硬化すれば、今度は記録的な不良債権が生まれる可能性があるということなります。

そうした債務不履行件数の増加が始まる前にはいくつかの先行指標がその兆候を示すのが常ですが、我々の懇意にしているヘッジファンドマネージャー達も含めて、そうした各種指標を眺めている市場参加者の間では『2006年央~2006年末くらいからデフォルトの増加が始まりそう』というのが少し前迄のコンセンサスでしたが、足許の企業業績が思ったよりも力強いため、最近は『少なくとも来年まではディストレスト投資の出番は無いかな』というのが支配的な見方になってきています。

そこへ、今回の某社の3号ファンド立ち上げのニュースです。それから、同じくこの分野で卓越した実績を誇る某投資銀行がいよいよ陣容を拡大し始めたという話も耳にしました。彼らを他のファンドよりも若干早いタイミングでの活動開始に駆り立てた要因が何だったのか、大変興味のあるところです。
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by th4844 | 2006-08-15 13:04 | Hedge Fund


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