2005年 09月 29日

花とおもちゃ

心暖まった、ささやかな自慢話を少しだけ・・・。




先日、長男誕生のお祝いということで、勤務先から自宅に大きな花が届いた。慶事の度に人事担当のおばちゃんが花を手配しているのは知っていたので、これは予想の範囲内だった。

次に、CEO名でもう1つ花が届いた。『あれ、こんなこともしてたんだ。でも、なぜ花を2つ?』と意外な感じもしたので、翌日、念のため秘書に尋ねてみると、『ああ、あれは本当に個人的なものだから、他の人には言っちゃダメよ。昨日赤ちゃんが生まれたA君のところにも何も贈ってないんだから。あなたのメールに添付されてた写真を見た瞬間に、「オレの家に連れて帰りたいくらいかわいい子だ」って思わず声を上げて、「すぐに花を贈れ」って・・・』ということだった。会社のトップの人間がそういう差別をしちゃいかんだろう、とか、Aには悪いなという思いも交錯したものの、正直なところこれはかなり嬉しかった。思えば妻の懐妊を報告して以来、彼にはしつこいくらいに毎週毎週『予定日まではあと何ヶ月だ?』とか、『オレのところに一人目が生まれた時は・・・』とか、『休暇はいくら取ってもいいが、ワイフをあちこち連れまわすなよ』などと声をかけられ続けた。それに、子供につけた名前について説明した時、たいそうそれを気に入った様子でもあった。私は今の会社に入社した頃には、彼に気に入られるどころか、どちらかと言うと鬱陶しがられていて、『オマエはよくやってるけど、なんであのおっさんとだけはうまくいかないんだろうな?』と周囲からも心配されているくらいだった。それなのに、人間という生き物は月日が経つと情が湧いて来るのか、私が古株の部類に入りかけた昨年あたりからは、かなり目立って贔屓っぽくされ始め、今や同僚からは冗談交じりで『オマエにはスポンサーがいるからいいよな~』と言われるまでになってしまっている。いやはや、大袈裟に言えば隔世の感すらある。

さて、驚いたことにもう1つ、さらにゴージャスな花が届いた。なんと、半年前に他社に引き抜かれてしまった元同僚からだった。彼がまだ在籍していた頃には、よく二人で昼飯を食べに行ったり(ブルガリア出身でロシア育ちの彼はなぜか日系レストランのカレーライスがお気に入り)、凄まじいワークロードを課されていた彼と、凄まじく作業効率の悪かった私は深夜残業の常連だったこともあって、夜中に二人でオフィスで話し込んだりしたものだ。かなり仲良くしていた方だとは思うが、だがそれにしても今回の花には驚いた。確かに彼は、クォンツ系の無粋な若者が多いうちの会社にしては珍しくdiplomaticなタイプだったが、20代半ばの若者にしては随分と気が利く。

その他にも同僚が個人的に、或いは何人かの有志で、新生児用のおもちゃを買ってくれたりもした。こっそりデスクまでやって来て、『はい、これ。たいしたもんじゃないけど』と言って手渡してくれたり、ミーティングだと言って呼び出した上で、ずいぶんでっかい包みを渡してくれたり。『なーんだ、うちの子へのプレゼントね。てっきりオレ用のプレイジムかと思ったよ』と、日本では決して口にしないようなお寒いおとぼけをしながら笑ってみたが、実は感激のあまりちょっとじーんと来ていた。

私はこういう演出には滅法弱い。人にしてもらった嬉しいことは、結構いつまでも覚えている。それにしても、私は本当に人との出会いに恵まれている。たったの数年しか在籍しなかったにも拘わらず、前職の銀行の同期や上司、先輩、後輩には今でもよくしてもらっていて、あの銀行に入って(入れて?)良かったと思うし、配属先も恵まれていた。楽しかったり勉強になったことは数え切れないが、耐えられなかったことや後悔していることなど無い(或いはとっくに忘れてしまった)。今の勤務先にしても、『まだまだbest&brightestからは程遠い陣容だ』とか『succession planがクリアでない』と、会社の将来を悲観することも勿論あるが、いつか、ずっと後になって振り返った時には、きっと良い思い出ばかりになっているのではないかと思う。


帰宅してから妻にこの話をした後、『でもさ、人情に脆かったり贈り物攻撃にコロッと来るようじゃ、まだまだオレも甘いよな』と一応ひねくれたことも口にしてみたものの、彼女はただニコニコと笑っていた。
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by th4844 | 2005-09-29 05:48 | Career


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