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2005年 09月 20日

アブソリュートリターン投資全盛時代の到来?

日本からかなりシニアなレベルの来客があった。『細かい話はさておき、ぶっちゃけヘッジファンドってどうなるの?』というお題について専門家の話が聞きたいとのことだったので、今回は弊社のChief Executiveにご登場願った。

彼のスピーチは、私自身はもう何十回も聞いているお決まりの内容だったが、個人的には概ねこの見方に賛同しているので、この場を借りて、ひとつ素直にメモを残しておくこととした。

なお、ヘッジファンドとPEのクロスオーバーが言われて久しいが、その反対側の境界では、ヘッジファンドとアクティブ型のミューチュアルファンド(日本なら投資信託)の相互乗り入れのような状況もかなり進行している。これは、そういったコンテクストも踏まえた上で語られたオハナシである。




アブソリュートリターン投資という枠組みの中におけるヘッジファンド投資の見通し

・過去3年間の大量資金流入によって、ヘッジファンド業界は重大な転機を迎えた。リターンが低下する一方で、リスクが適切な水準で評価されていない。過去のリターンの標準偏差が2%だったとしても、それがリスク2%を表しているとは言えない。透明性の問題もあって、目に見えない本当のリスクというものがますます把握しにくくなっている。

・多くの投資家はヘッジファンドが万能薬ではないということをようやく認識したはずだ。『ロングオンリーがダメだからヘッジファンドに投資したのに、ヘッジファンドもダメなら一体何に投資したらいいのか?』といったアプローチを取るべきではない。

・資産運用の世界は今、アブソリュートリターン(広義のアクティブ運用)とレラティブリターン(パッシブ運用)という二極化に向かっている。ヘッジファンドは、このうちアブソリュートリターン投資の一角を占めている。アービトラージに始まり、イベントドリブン、株式ロング・ショート、アクティビスト、クレジット、そして今やエマージングマーケットもヘッジファンド投資に分類されているが、こうして次々に生まれてきた様々な運用手法は革命的であったと言えよう。10年後には今のヘッジファンドは“よりアクティブな資産運用(=アブソリュートリターン投資)の先駆者”として記憶されるのではないか。

・ヘッジファンド以外のアブソリュートリターン投資としては、ノン・ベンチマーク運用(=伝統的資産のアクティブ運用)、バリュー投資、バランス投資(内外の債券、株式、現金等の幅広い資産クラスの間で機動的に運用)、プライベートエクィティ、不動産関連投資(REIT、不動産デリバティブ、REIT等のロング・ショート)、クレジット(クレジットデリバティブやストラクチャードプロダクトを含む)、コモディティ投資などが挙げられる。

・現在、様々な機関投資家のポートフォリオの中で、アブソリュートリターン投資の割合が急速に拡大すると同時に急速に進化している。例えば、今日クレジット投資においてインデックス運用をしているような投資家は最早いなくなったと言って良いかと思うが、今やあらゆる分野でアクティブ運用、アブソリュートリターン運用が広がりつつあり、まだまだこの傾向は続くであろう。我々はヘッジファンドの将来について明るい見通しを持っているが、それはヘッジファンドの将来というよりも、アブソリュートリターン投資の将来と言った方が良い。

・資産運用の世界において、投資対象となる資産・戦略・地域・そして時間は、これまでも絶えず進化してきたし、今後そうしたトレンドが消えてしまう理由は無い。優れた運用者が存在し続ける限り、絶えず革新的な裁定機会が発見されるであろう。アービトラージに終わりは無い。

・勿論、期待リターンが逓減してきていることや、質の高い情報の収集がまだまだ困難なこと、そして人材を巡る競争が激化していることなど、ヘッジファンド/アブソリュートリターン投資の抱える課題は無数に存在しており、投資家の期待に沿うような結果を残していくのは非常にチャレンジングであるが、これは遣り甲斐のある仕事だと思うし、やれるという自負もある。マーケットという大海の中にあって、我々はいわば小さな魚に過ぎないのだが、それでもこの分野においては随分と経験も積んできたし成長している。
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by th4844 | 2005-09-20 09:19 | Hedge Fund


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