2005年 09月 09日

やっぱりブログの時代?

中学生の頃、何をやっても競り合いになる良きライバルというべき親友がいた。入学して間もなく一緒に陸上部の門を叩いたその日から直ぐに、短距離も長距離も、はたまたどの教科の勉強にしても、大体学年でトップ争いをすることになった。面白いもので、走るのは異常に速い(もともとは二人とも『クラスで一番足が速い奴』程度だったが、相当量の練習で格段に強くなれた!)が球技はイマイチで水泳に至っては殆どカナヅチなところや、決してカッコいい男ではなかったために目立つ割に今ひとつ女の子にもてきれなかったところなど、まさに瓜二つという状態だった。

勿論、一緒にチャリンコを乗り回して夜遊びした楽しい思い出もたくさんあるが、やはり一番の思い出といえば、3年生の夏に、二人揃って海外遠征のメンバーに選ばれて、中国に連れて行ってもらえたことだ。強豪校でもなかった普通の公立中学から2名も選ばれたというのが、当時何よりも誇らしかったし、実際、いろいろな学校から集まってきた奴らと過ごした中国での1週間は本当に楽しかった(ちなみに、北京、上海、無錫と転戦したが、当時の中国はまだまだどの街も本当に冴えない途上国といった風情だった)。

ただ、中学も3年生になった頃からは、徐々にではあるが、どちらかと言うと私は陸上に、彼の方は勉強の方にそれぞれ重きを置くようになった。そうした主体的選択の結果かどうかはともかくとして、私の脳味噌が高校、大学と年々静かにしかし着実に退化していった一方、彼の方は高校で陸上をあっさりと辞めた分、きちんと東大に進み、そして希望通りに新聞記者となった。




今春、一時帰国した時に本当に久し振りに彼と再会したのだが、ちょうどその日が尼崎の脱線事故の発生直後だったこともあって、私は日頃から感じていた素朴な疑問をぶつけてみたのだった。『マスコミの特性なのか、日本人がそれを望んでいるのか、それとも人間っていうのはそういう社会性があるのか、とにかくすごい叩きっぷりだよね。鈴木宗男元議員にしろ、みずほの前田社長にしろ、今回のJR西日本の垣内社長にしろ、まるで首でも括って世間にお詫びしろとでも言ってるくらいの勢いだけど、ああいう追い込み方って、やっぱり見ていて気分が悪いんだけど、どうなんだろう?ああやって書かなきゃいけないの?』。

彼は言った。『確かに、マスコミには水に落ちた犬を棒で叩くような風潮はあるんだよなぁ』。そして、さらに話を続けてくれた。『まあ、結局のところ、所詮はサラリーマンだからねっていうことなんだよな。地方の支局とかだと、まだまだ志の高い人が気持ちを込めていい記事を書いてる雰囲気もあるんだけど、たとえば、うちの経済部に来るようなエリート記者の中には、やっぱり吐き気がするくらいのゴマすり親父も多いんだよ。そういう人って、ニュースを自分で作っちゃんだよな。上層部がこの前こんな話をしていたから、そういう見方に沿うようなネタばかりを虱潰しに探したり、無理やり繋ぎ合わせたり。自分で勝手にそういうことをやるだけならまだしも、俺たちが力を込めて書いた記事も偉い人たちの意向を忖度した形に筆を入れられちゃったりもするんだけど、そういうことされると本当に滅入る・・・。社内的には花形の部署だけど、そういう意味じゃあんまり面白くないよ。』

その時、思わず私は彼に強くお願いをした。もはや社会的に抹殺されかかったムネオ氏や前田・垣内両社長の名誉など、小さな問題に思えた。『でもさ、日本のサラリーマンも学生も、みんな毎朝○○(彼)のとこの新聞を読んでるんだぜ。しかも、経験のある中堅以上の実務家ならまだしも、素人や学生は、その新聞に書いてあることを読んで“勉強”してるんだよ。新聞に書いてあることが真実だと思ってるんだ。会社の上司や先輩の真似してれば昇進出来る時代じゃないし、世の中に何が起きていて、どういう風に変わっていくのか不安に思ってるっていう人たちが異常に増えてる。是非とも、彼らを正しい方向に啓蒙出来るような記事を書いてくれ。社内の都合でそれが出来ないんだったら、こういう時代なんだし、他の媒体を使う道だってあるだろう。若くて優秀なジャーナリストには、独立してでもそういう気概で頑張ってほしい!』。

8日のLinLinさんの外資系投資銀行勤務日記は、誤解(というよりは敵意に満ちた先入観?)に基づいた頓珍漢な内容のコラムに疑問を呈する内容のエントリーであった。これを拝読しながら、大手新聞の紙面の質についてあれこれと考えているうちに、この話を思い出したのだが、やっぱり新聞よりブログの時代か?新聞の奮起を期待したいところだが・・・。
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by th4844 | 2005-09-09 09:19 | Me, Family, Friends


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