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2005年 08月 30日

farewell drink に思うこと

ロンドンに来てからというもの、毎月では無いものの、かなりの頻度で誰かのフェアウェルをやっている。今月は、うちのチームから2人を送り出した。



1人は、インターンに来てくれていたレバノン系フランス人のAくん。彼と過ごしたこの3ヶ月間は、なんだか楽しかった。最初のインタビューの時から、『たいした知識はありませんが、なんでもやります!徹夜も全然問題ありません!』とフランス人らしからぬ、そして金持ちらしからぬハングリーさを前面に押し出していたところに非常に好感が持てて(単に昔の自分の姿に重ね合わせていただけか・・・)、あっさりと採用を決めた。たしかに、ファイナンスや統計の知識などは他のインターンの学生よりも少し見劣りしたものの、持ち前のガッツと地頭の良さとで、みるみるうちにいろいろなことを吸収して頑張ってくれた。そして、当初の思惑通り、そういうひたむきさが、周囲のまったり系のスタッフにもそれなりの影響を与えてくれたと思う。せっかくのサマーを私のような半人前の日本人にこき使われたのは不運だったという他ないが、一緒にやったいろいろな案件を振り返りながら、『あれもこれも本当にexcitingだったし、勉強になった』と言ってくれたので、少しだけ救われた気がした。嬉しかったのは、『他の人は、ただあれをやってくれ、これをやってくれと言うだけで、それを何に使うのかわからなかったから、言われたことしか出来ず、プラスアルファの工夫をする余地がなかった。でもth4844はどんなプロジェクトでも常に全体像を示しながら、今、なぜこの作業をしなければいけないのか、その作業が次に何に繋がっていくのかをクリアにしてくれたので、すごくやり易かった。』と言ってくれたことだ。まったくdiplomaticというか、まるで体育会の後輩達のようで、とにかく人間が出来ていた。うちから正式にオファーを出しても受けてくれるかどうかまだ何ともいえないが、ああいう良質な学生がインターンに来てくれるようになったのは、うちの会社もそれなりに成長しているということか。ちなみに、彼はiron chefとTakeshi castleの大ファンだそうで、実際両番組についての知識は私の朧げな記憶よりも余程確かなものであった。

もう1人は、アシスタントのS嬢。この業界では珍しく、カリブ系の(=いわゆる黒人の)お姉ちゃんなのだが、私など片手でつままれそうなくらいパワフルで、そしてとにかく明るい。いつだったか、飲みに行った後のピザ屋で、ふと『本当は、みんな私みたいなのじゃなくて、かわいいブロンドの女の子がアシスタントについた方がいいに決まってるよ』などとこぼしていたことがあったのだが(確かに、彼女の前任者は東京にいた私の元上司が『ボンド・ガール』と形容したようなゴージャスな金髪の令嬢だった)、実際はそんなことはなかった。退屈だったり嫌なことがあっても笑い飛ばしてしまえる懐の深さと、大阪のおばちゃんを彷彿とさせるような超一流の行動力で、誰からも信頼され、そして好かれていた。毎回、誰かが退職する度に色紙に寄せ書きしてプレゼントするのが恒例になっているのだが、みんな普通は『wish you a luck!』『all the best!』『keep in touch』といった、実に素っ気無い一言二言の決まり文句しか書かない。ところが、彼女宛の色紙には、みんな実にカラフルなメッセージを書いていて、あんなに心のこもった色紙は初めて見た。また、ボロボロ涙を流しながらオフィスを去っていったのも彼女が初めてだったと思う。彼女がいなくなるのは寂しいが、今度は、とある小さな通販業者のoffice managerになって、部下もたくさん出来るというから、実に立派なステップアップである。あんなに嫌がっていたのに今度の上司もまたフランス人だというのは爆笑ものだが、まあ彼女ならきっと上手くやっていけるに違いない。


今月見送った2人の場合は典型的なケースとはいえないものの、成長した若手が後発の同業他社に転職していってしまうケースが頻発している。日本の会社で異動が発令されるくらいの頻度で転職者が出ているイメージだが、要するに、終身雇用を前提として会社が(人事部が)キャリアパスを用意するのではなく、自分で内外の機会を見比べながらステップアップしていくというのがスタンダードとなっているからそうなるんだと思う。最近ブローカー等が主催するヘッジファンド・カンファレンスに顔を出すと、本当にあちこちで元同僚達の顔を見かけるようになった。昔の仲間が新天地で活躍するのは友人として嬉しく思う反面、うちの会社が彼らの成長のスピードに見合う形で新たなポストや役回りを用意出来なかったのは本当に残念だ。もしも、彼ら全員が今も残っていたとしたら、なんだか凄いことが出来ていたのではないかとも思う。競合との激しい戦いを勝ち抜くという意味だけでなく、優秀な若い社員を繋ぎとめておくという意味においても、企業の成長のスピードというのは本当にクリティカルだ。ヘッジファンド業界のような、人材の供給源が限られている新興産業においては特にそうだと思う。
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by th4844 | 2005-08-30 03:29 | Career


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